案内板

基本的注意事項 |えせ同和行為

えせ同和行為対応の手引

平成22年1月 法務省人権擁護局

1 基本的姿勢
 えせ同和行為に対する基本的姿勢は、違法・不当な要求は断固として拒否することにある。
 応じることのできない違法・不当な要求を拒否するのは当然のことであって、たとえその要求が同和問題への取り組みなどの名目で行われても結論は同じである。

2 こわいものという意識を捨てること
 同和問題の名の下に不当な要求をする者は、そのことによってもはや同和問題を論じる資格はないというべきである。その者の要求行為は、えせ同和行為そのものであり恐れる必要のないものである。

3 初期の対応
 最初から一貫して、き然とした態度で対応する。
 最初の対応の誤りが事件を拡大させるので、最初に相手にすきを見せたり、脈ありと思わせてはならない。

4 安易な妥協はしないこと
 えせ同和行為者は、弱い者に強く強い者には弱い。したがって、安易な妥協をすると更につけ込まれる。その場しのぎの安易な妥協は火に油をそそぐ結果となる。
 例えば、えせ同和行為者は刑事事件となることを怖がって具体的な金銭の要求をせずに「誠意をみせろ。」、「善処しろ。」などと攻めてくるが、それに根負けして金銭で妥協してはならない。

5 脅しを恐れないこと
 えせ同和行為者自身、刑事事件となることを怖がっているため激しい言葉を発言しても実際に暴力的行為に出ることはまずない。仮に暴力的言動があった場合には、直ちに警察への要請、通報など法的手続をとるべきである。

6 同和問題への取組を非難された場合
 同和問題への取組や同和研修の在り方を口実に不当と思われる要求を受けたときは、相手方に対し、「法務局に申し出てそれが人権侵害になるかどうか、また、今後どうすべきかについて法務局の処理に委ねたい。」と伝える。その後速やかに法務局に相談して態勢を整える。

7 弱みを追及された場合
 弱みを追及された場合でも、密室での取引を排して紛争の適正妥当な解決をはかるための正当な手続によるべきである。
 相手の指摘する内容が仮に事実であるとしても、法的な観点から見れば損害賠償等を認めるには故意過失の有無、賠償の対象になるかどうか、適正妥当な賠償額はどうかなどの検討を要する。
 したがって、それらの検討をしないまま安易に相手の要求を認めたり、謝罪的な発言をしてはならない。
 事務上の過誤などの処理は、法律に従った正しい手続によって行うべきであり、それを口実にする相手方の違法・不当な要求は断固として拒否すべきである。

8 組織全体で対応
 えせ同和行為に対しては、組織全体で対応すべきである。支店などで不当な要求を受けた場合は、支店長が個人的に又は支店限りでその要求に応ずるべきではない。相手は、個人的な又は支店限りの対応の不備などを口実にして本店に対しより大きな要求をしてくることが多いので、本店に報告したり、本店に指示を求めるなどして組織全体として対応すべきである。

9 官公署の影響力が利用された場合
 えせ同和行為者は、企業に対して不当な要求をする場合、その手口としてその企業の監督官庁などに連絡をとり、その官庁の企業に対する影響力を悪用しようとすることが多い。
 各行政機関は、都道府県単位の「えせ同和行為対策関係機関連絡会」への参加を通じるなどしてえせ同和行為の排除に積極的に取り組んでおり、えせ同和行為者に加担することはないので、このようなえせ同和行為者の手口にだまされないようにしなければならない。

10 法務局への相談
 法務局・地方法務局の本局および支局では、えせ同和行為の排除のための相談を受け付けており、必要に応じて警察、弁護士会と連絡をとる体制を敷いているので、同和問題を口実にする不当な要求を受けたときは法務局に相談する。(連絡先については後掲連絡先一覧表のとおり)

11 警察への連絡など
 警察は、えせ同和行為者の排除に積極的に取り組んでいる。
 現在、都道府県警察では「企業対象暴力対策本部」などを設置して、暴力団やえせ同和行為者などに関する企業からの各種相談に対応しているほか、これらとの関係遮断に取り組む企業に対しては、情勢に応じて必要な警戒を行うなど関係者の身辺の安全を確保するための保護対策を実施している。暴力団やえせ同和行為者などから不当な要求を受けた場合又は受けるおそれがある場合には次のように対処する。
(1)警察本部(刑事部暴力団対策課など)、最寄りの警察署又は暴力追放運動推進センターに速やかに連絡を取り、対応などについて助言を受ける。(連絡先については後掲連絡先一覧表のとおり)
(2)緊急を要する場合は、ためらうことなく110番通報する。

12 弁護士への相談
(1)日本弁護士連合会(日弁連)は、民事介入暴力対策委員会を中心にえせ同和行為の排除に取り組んでいる。また、そのために各都道府県にある弁護士会に民事介入暴力被害者救済センターを置き、えせ同和行為者に対する対応について相談を受けている。(連絡先については後掲連絡先一覧表のとおり)
(2)えせ同和行為は、かなり知能犯的である場合が多いので、弁護士にもよく相談し事案に応じてその解決を弁護士に依頼する。
(3)なお、民事上の手続として以下のものが挙げられる。これらの手続について、弁護士と相談することも有益である。

ア 内容証明郵便の送達
相手方の行為が継続すると予想される場合には、法的手続をとる前に内容証明郵便を送達する。内容証明郵便には、次のような事項を記載することが考えられる。
(1) 相手方の行為が刑法上脅迫罪・強要罪・恐喝罪等を構成すること。(あるいは民法上不法行為となること)
(2) 弁護士に依頼済みのときは、今後の連絡は弁護士事務所あてにされたいこと。
(3) 違法行為があるときは、断固として法的手続をとる意思があること。

イ 仮処分の申請
不作為の仮処分(面談禁止、架電禁止、立入禁止、業務妨害禁止など)の申立を裁判所に対して行う。
※ 仮処分決定を得ることにより、禁止事項が明確になり相手方の動きが止まる効果が期待できる。

ウ 債務不存在確認の訴えの提起など
些細な誤りにつけこみ損害賠償を求めてくる場合には、相手に対して訴訟を提起するよう促し、これに応じないときは、逆に債務不存在確認の訴えを提起するなど紛争を裁判によって解決する方策をとる。

えせ同和行為被害者相談窓口
★ ○○(地方)法務局人権擁護部
★ ○○(都道府)県警察本部刑事部暴力団対策課
★ (財)○○(都道府)県暴力追放センター
★ ○○(都道府)県弁護士会(民事介入暴力対策委員会)

(2012/11/28)