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「子ども・子育て支援新制度」とは |シリーズ

現在、日本では深刻な少子高齢化が大きな社会問題となっています。

これまで「エンゼルプラン(※1)」や市町村が策定する「次世代育成支援行動計画」に基づき、さまざまな少子化対策を推進してきましたが、少子化の進行に伴う人口減少社会の到来、待機児童問題や地域の子育て力の低下などから、抜本的な制度改革が求められていました。

「子ども・子育て支援新制度(※2)」は、女性の社会進出を進め、労働力を確保するとともに、出生率の向上をはかり、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の充実を進めていくため、2015(平成27)年4月に全国の市町村で始まりました。

内閣府のホームページでは、「すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために」という考え方に基づいて制度が作られ、子育て支援の量を増やし、必要とする全ての家庭が利用できる支援を用意。子育て支援の質を向上して、子どもたちがより豊かに育っていける支援を目指している制度、と伝えています。また、この新制度を解説した「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK」を掲載しています。(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/)

新制度のポイントは次の通りです。
1.認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付「施設型給付」及び小規模保育等への給付「地域型保育給付」の創設
2.認定こども園制度(※3)の改善(幼保連携型認定こども園の改善等)
3.地域の実情に応じた子ども・子育て支援(利用者支援、地域子育て支援拠点、放課後児童クラブなどの「地域子ども・子育て支援事業」)の充実
4.基礎自治体(市町村)が実施主体
5.社会全体による費用負担
6.政府の推進体制(内閣府に子ども・子育て本部を設置)
7.子ども・子育て会議の設置(※4)

保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとに、今後、市町村はより地域のニーズに合った子育て支援が提供できるよう施策を進めていかねばなりません。

(※1)エンゼルプラン
厚生省(現厚生労働省)が1995(平成7)年に策定した「子育て支援のための総合計画」の通称。少子化傾向を食い止めるため、共働き家庭の育児を援護するなどさまざまな施策が盛り込まれています。
(※2)子ども・子育て支援新制度
2012(平成24)年8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度です。
(※3)認定こども園制度
今までの子どもを預ける環境は、親が働いていたら保育所、働いていなかったら幼稚園という考え方でした。親の就労の変化によって、子どもが慣れ親しんだ園を転園しなくてはならなかったということです。
今回の子ども・子育て支援新制度の目玉でもある、認定こども園は、0~5歳の子どもの教育と保育と一体的に行う施設で、3歳以上の子どもは、保護者の就労の有無や状況の変化に関わりなく、継続して通い続けることができます。
2015年4月1日現在の「認定こども園」の数は全国で2836件、前年度の1360件から1476件も倍増し、今後も増えていくことが予想されます。
(※4)子ども・子育て会議の設置
区市町村が主体となって設置し、地域のニーズに基づいた子育て支援の事業計画をつくり、計画に従って保育施設や地域の子育て支援事業などの提供体制を整えていくことを目的としています。

(2017/05/09)