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世界津波の日 |ご存じ?Q&A

2015(平成27)年12月に行われた第70回国連総会において、「11月5日」を「世界津波の日」に制定することが決まりました。
「世界津波の日」は日本をはじめ、142ヵ国が共同提案国となって制定されましたが、津波に特化した国際デーは初めてのことです。
日本に限らず、津波被害に悩む国々(※)は多く、津波の危険性を共有し危機意識を高めるために「世界津波の日」が制定されました。
11月5日を「世界津波の日」としたのは江戸時代後期、1854(安政元)年11月5日に起きた安政南海地震の際、現在の和歌山県広川町の実業家だった濱口(はまぐち)梧陵(ごりょう)が自ら収穫した稲わらに火を投じ、急を知らせ、村人を高台に誘導して大津波から命を救ったという逸話「稲むらの火」に由来します。この逸話には、地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮が説かれています。
日本政府は東日本大震災が起きた後、2011(平成23)年6月に津波対策推進法によってこの日を「津波防災の日」と決定しました。
「世界津波の日」については、過去に大きな被害が発生した日ではなく、早期警報と伝統的知識の活用によって人びとの命が救われた成功例にちなんだ日であってほしいとの願いに基づき、「世界津波の日」の制定に向けての活動が始まり、日本が中心となって、各国間への支持要請が重ねられました。また、日本国内においても有志国会議員が100ヵ国以上の在京の大使館を往訪し、働きかけるなど、本件への支持が確実に広がりました。
今後はこの日に合わせて、津波防災への啓発活動が世界的に展開されることが期待されており、その結果、津波から一人でも多くの尊い命が救われることが望まれています。国際社会が津波への理解を深め、津波対策の重要性について意識を高めていくことが必要になってきます。
我が国もこの「世界津波の日」の制定を契機に、今後も防災分野におけるイニシアティブを発揮していくとともに、津波観測や早期警戒システムなどの国際的な防災協力を加速させることが求められています。

(※)地震によって引き起こされた津波被害地域
1960年=チリ、1976年=フィリピン、1998年=パプアニューギニア、1999年=トルコ、2001年=ペルー、2004年=インド洋沿岸諸国、2009年=サモアおよびトンガ沖、2007年・2013年=ソロモン諸島沖、2011年=日本(東日本大震災)

津波の被害地図(外務省HP 2016年3月10日掲載 「わかる!国際情勢」)


「津波防災の日」ロゴマーク

外務省 世界津波の日
外務省 わかる!国際情勢「世界津波の日」の制定

(2017/11/10)