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「レジリエンス」とは |ご存じ?Q&A

「レジリエンス(resilience)」とは、全米心理学会によると「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。もともとは、物理学の「復元力」や環境学の「環境の変化に対応する生態系の回復力」を表す言葉でした。

人は強いストレスを感じる経験をしたときに、同じようなストレスであっても、すぐに立ち直れる人もいれば、立ち直るまでに時間のかかる人もいます。その違いを生み出すものが「レジリエンス」であり、わかりやすく言えば、折れない心、立ち直れる心ともいえるでしょう。

心理学におけるレジリエンス研究は、1970年代にはじまりました。もともとは海外の学校現場における、うつ病の若年化という問題に対処するために研究されてきた経緯があります。ストレス状況に正面から向き合い、適応し、乗り越えていくことは、人の成長には欠かせませんが、思春期にメンタルヘルス不調になってしまうと、成人以降に再発するリスクが格段に高まるといわれています。そこで、うつ病の予防として、子どもたちのレジリエンスを養うカリキュラムが海外の学校では導入されてきました。

また、最近ではビジネスの世界でもレジリエンスが注目されています。日々の変化が激しい現代社会において、その変化や危機にうまく適応し、どのような状況下でも能力を発揮することが求められています。

特に、海外のグローバル企業では、変化と危機への対応力として、レジリエンスを高めるトレーニングを管理職研修やリーダーシップ研修に取り入れ、ストレスやプレッシャーに負けないたくましい精神を持ったマネージャーの養成に活用しています。

人は本来だれもがレジリエンスを兼ね備えています。ストレスの多い不安定な現代社会で生きていくうえで、困難に直面したときに、その現実を直視し、しなやかに適応し、乗り越えていくレジリエンスが、ますます重要になるのではないでしょうか。

(2018/11/13)