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「見た目問題」とは |ご存じ?Q&A

映画「ワンダー 君は太陽」をご覧になられたでしょうか?
ジェイコブ・トレンブレイが演ずるオギーは、遺伝子疾患のため人とは違う顔で生まれ、10歳までに27回もの手術を受けたという設定で、顔のせいで同級生のいじめにあうなど、苦悩する場面が描かれています。

このように先天的・後天的に、見た目に特徴的な症状をもつ人たちが、見た目を理由とする差別や偏見ゆえに直面 ・内包する問題のことを「見た目問題」といいます。
社会的な問題として取り上げられてこなかったことから、当事者の正確な人数も把握されておらず、当事者団体の公表や海外の統計から、日本にはおよそ100万人と推測されています。

主な症状は
・「アルビノ」生まれつきメラニン色素を作ることができず、皮膚が白く、毛髪は白や茶色、目の色も薄い灰色や     青、茶色になる遺伝性疾患。
・「乾癬(かんせん)」皮膚が赤く盛り上がり、ふけのようにはがれ落ちる、慢性の非伝染性皮膚疾患。
・「トリーチャーコリンズ症候群」ほほ骨や下あごの骨、耳などの成長が不完全な遺伝性の疾患。

これらはほんの一部で、先天性の疾患だけでも実にたくさんの症状があるほか、後天性の疾患や、火傷の跡のような傷などもあって、誰でも当事者になりうる可能性があります。

当事者が直面する問題は、その見た目ゆえにジロジロと見られることで、「まるで視線のナイフでめった刺しにされている」ような気分になるそうです。

冒頭の映画ではハッピーエンドに描かれていますが、現実では幼少期のいじめなどから引きこもりになるケースや、進学・就職・結婚といった人生の節目でうまくいかないこともあります。さらに感染する病気と誤解されプールや温泉施設の利用を断られるような事例も起きています。
機能障がいをもつ症状の場合には障がいに対しての公的支援を受けることができますが、見た目に関しては命に別状がないことから難病指定もされず、福祉サービスの対象ともされていません。

「見た目問題」とは、見た目に症状を持つ人たちへの対応に問題があるということであり、社会の側が抱える問題です。「見た目の症状」は本人の努力で解消できるものではなく、国籍・人種・身分などに対する差別同様、社会の側が「見た目問題」に悩む人びとを理解し、誰もが自分らしく生きていくことができる社会を実現させることが求められています。

(2020/03/26)