シリーズ

「老老介護・認認介護」とは |ご存じ?Q&A

少子高齢化と核家族化が進む中、社会全体の問題となっているのが、介護問題です。

そして、平均寿命がのびるにつれて、深刻になってきたのが、高齢者同士による「老老介護」と「認認介護」の問題でしょう。配偶者の介護、両親や兄弟姉妹の介護、そして自分自身の老後、誰もが当事者として関わる可能性があるため、それぞれの問題点と今後の対策について紹介します。

介護する人とされる人、両者の年齢が65歳以上である状況を「老老介護」と呼びます。介護には食事や入浴、排泄といった身体介助が含まれる場合も多く、介護者が現役世代であっても、長期的に対応するには体力が必要です。また、認知症患者の介護を認知症である高齢者が行う「認認介護」に陥る危険性も高まります。周囲から孤立することは強いストレスとなり、認知症を引き起こす要因の一つと言われています。「老老介護」で疲弊した介護者が自身も認知症になっていることに気づかずに介護を続けてしまっているケースがあります。さらには、高齢者で病気を患っている方が病人の介護をしなければならない「病病介護」といったケースに陥る家庭もあります。

「老老介護・認認介護」が増加している要因として、平均寿命と健康寿命の差があげられます。医療の進歩で日本人の平均寿命は年々延びていますが、健康寿命(介護無しで日常生活が営める期間のこと)との差が目立つようにもなりました。そこから平均寿命までの期間は、そのまま要介護期間とも言い換えられます。男女平均10年前後の要介護状態があり、親の介護が始まった時には、50代だった子どもが介護を続けていくうちに60歳を超え、「老老介護」に突入するという状況が起きます。また、核家族化や他人に助けを求めることへの抵抗感、そして金銭的な理由も要因の一つとして考えられます。

このような現状や要因を把握したうえで、その後の具体的な予防策と解決先を考える必要があります。最も重要なのは、介護者が一人で悩みを抱え込まないようにすることです。周囲の人に把握してもらうこと、1人で悩んでいるだけでは、有益な情報を集めるのも難しいでしょう。他人の手を借りたり、家族を施設に入れたりすることに罪悪感を覚える人がいますが、そういった意識こそが介護を危険な状態に追い込みます、高齢化と核家族化が進んだ現代社会では、他人や行政の助けを借りてこそ、健全な介護を行なえるのです。深刻な状況になる前に、子どもや兄弟姉妹、親戚、そして行政に相談することが肝要です。

(2023/03/29)