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「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」について |ご存じ?Q&A

1.条例制定の経緯
 1975年以降、部落地名総鑑が売買されている事件が発覚し、大きな社会問題になりました。
?? この事件を契機にして、部落差別につながる調査行為などをなくそうという声が高まり、これを受けて大阪府では、1985年3月、同和問題の解決の一助として「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」(以下、「条例」という)を制定しました。
 しかしながら、1998年7月に、府内の調査会社2社が、企業から依頼された応募者の調査に際して、「条例」に違反した身元調査を行っていたことが判明しました。
 また、2007年、マンション開発などの候補地調査などにおいて、差別につながる土地調査が行われていた事実が判明しました。このため大阪府では、こうした土地調査を防止するため、「条例」の一部を改正し、新たに「土地調査等」を行う者を規制対象に加え、2011年10月1日から施行されました。
2.条例の目的
 この条例は、同和地区に居住していることや過去に居住していたことなどを理由として、結婚差別、就職差別等の部落差別事象を引き起こすおそれのある個人及び土地に関する事項の調査、報告等の行為の規制等に関し、必要な事項を定めて部落差別事象の発生を防止し、府民の基本的人権の擁護に資することを目的としています。
3.条例の内容
(1)府民の責務
 「府民は、条例の目的に反する調査又は調査の依頼をしないよう努めなければならない」として、府民の責務を定めています。
(2)府の責務
 「府は、国及び市町村と協力して条例の目的を達成するため必要な啓発に努めるものとする」として、府の責務を定めています。
4.興信所・探偵社業者への規制
 条例では、興信所・探偵社業者に対しては、次の遵守事項を定めています。
①特定の個人又はその親族の現在又は過去の居住地が、同和地区にあるかないかについて調査し、又は報告しないこと。
②同和地区の所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示をしないこと。
【違反に対して】
①知事は、興信所・探偵社業者が遵守事項に違反したときは、当該業者に対し必要な指示ができる。この指示に従わないときは当該業者に対し、一月を超えない範囲内で期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。この命令に違反した者は、法令三月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
②知事は、遵守事項の規定の実施に必要な限度において、当該業者に対しその営業に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は立入検査・質問をすることができる。この報告・資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告・資料を提出し、又は検査・質問を正当な理由なく拒み、妨げ、忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
5、土地調査等を行う者への規制
 「土地調査等」とは、本来の営業活動に関連して行われるすべての事業活動に伴う土地の調査や報告のことです。また、「土地調査等」は、特定の業界・業種に限るものではないため、すべての事業者を対象としています。
 ただし、事業者の行う「土地調査等」一般を規制するものではなく、つぎの遵守事項に違反した場合に限って規制するものです。
①調査又は報告の対象となる土地及びその周辺の地域に同和地区があるかないかについて調査し、又は報告しない。
②同和地区の所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示をしないこと。
【違反に対して】
①知事は、遵守事項の規定の実施に必要な限度において、土地調査等を行う者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。この要求に正当な理由なく応じなかったときは、その事実を公表することができる。
②知事は、土地調査等を行う者が遵守事項に違反したときは、当該者に対し、当該違反行為を中止し、その他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。この勧告に従わなかったときは、その事実を公表することができる。
6、部落差別をなくすために
 同和問題を解決するためには、わたしたち一人ひとりが他人に合わせて自らの態度を決めるのではなく、同和問題を十分理解し、生まれた場所や住んでいる場所を理由にした差別をゆるさないという考えをしっかりと持ち、自らの行動に結び付けていくことが必要です。

(2013/06/03)