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「マタハラ」とは |ご存じ?Q&A

マタハラとは「マタニティハラスメント」の略称であり、働く女性が妊娠・出産を理由とした解雇・雇い止めで不利益を被ったりするなどの不当な扱いをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的な嫌がらせのことです。働きながら妊娠・出産、子育てをするための権利は、男女雇用機会均等法、労働基準法、育児・介護休業法によって守られています。結婚・妊娠・出産・産前産後休業の取得を理由として退職する制度を設ける、退職をせまる、解雇することなどは禁止されています。
しかし、労働組合のナショナルセンターである連合の調査によると、4人に1人が「マタハラに該当する被害を受けたことがある」と答えており、「妊娠したら解雇された」「会社に育児休暇の規定はないと言われた」「妊娠中に残業や重労働をさせられた」といった被害が報告されています。同時に、女性労働者自身でさえも、マタハラについての認識が低いことがわかりました。
また、職場でマタハラが起こる原因として上位にあがったのが「男性社員の妊娠・出産への理解不足・協力不足」や「会社の支援制度設計や運用の徹底不足」でした。
女性が働きながら妊娠・出産するには、心身ともに大きな負荷がかかります。妊娠・出産・育児に関する社内規定や制度をしっかり整備することが大切です。しかし、これらの権利は法律や規則だけで守られるものではありません。周囲の理解や協力がなければ、どんなに立派な規則をつくっても守られません。妊娠・出産、子育てをしながらもいきいきと安心して働くことができる職場環境づくりに取り組んでいくことが求められます。周知や啓発を行い、意識を高めていくことが重要です。
少子化問題は、社会経済の根幹を揺るがしかねない、待ったなしの課題です。次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる社会の実現が強く求められています。働きながら仕事と子育ての両立をはかるために私たち一人ひとりが意識改革に努めることが大切ではないでしょうか。

(2016/02/01)