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十念寺と風呂町 |奈良人権スポット

所在地 奈良市南風呂町27 JR・近鉄奈良駅より徒歩約10分


 かつて南北2町、東西1町にわたる寺地の規模を誇った浄土寺。興福寺大乗院門跡の祈願所で、大乗院から月1回の参りがありました。現在ある十念寺は、この寺域にふくまれているとみられ、浄土寺の本尊愛染明王は十念寺の愛染堂とされています。
 興味深いのは、この寺に銭湯があったことです。今日的にいうならサウナの「地下風呂」でだれもが利用できた。しかし、1490年になると浄土寺銭湯=唱聞師男女不可入之旨」と声聞師を風呂にいれないと決め、被差別民衆への賤視観があらわれてくるのが歴史的な注目点です。
 さて十念寺の見どころは、貧民救済に一生をささげた真言律宗の高僧・忍性(1217~1303年)の五輪塔や、おしろい地蔵があることです。忍性の功績をしるした「性公大徳譜」によると、功績の一部だけでも「非人(癩病患者など)に与えた衣服33000領(略)、築造した浴室・病屋・非人所5ヵ所」でした。

(2012/11/30)