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「大阪市ヘイトスピーチ条例」とは |ご存じ?Q&A

正式名称は「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」といいます。2016年1月15日の大阪市議会で、全国で初めてヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)の抑止策をまとめた条例案を賛成多数で可決・成立しました。同年1月18日公布、一部施行を経て、同年7月1日から全面施行されました。

この条例は、個人の尊厳を害し、差別意識を生じさせるおそれがあるヘイトスピーチに対し、条例を制定することにより、市としてヘイトスピーチを許さないという姿勢を明確に示し、ヘイトスピーチからの市民等(※)の人権擁護と、その抑止を図ることを目的としています。

具体的には、ヘイトスピーチを「特定の人種もしくは民族の個人や集団を社会から排除し、憎悪や差別意識をあおる目的で侮辱や誹謗中傷するもの」と定義し、街頭デモなどで被害を受けた市民等からの申出等に基づき、法律に詳しい大学教授と弁護士5人でつくる「大阪市ヘイトスピーチ審査会」が、発言内容などを審査し、その結果を踏まえて市がヘイトスピーチと認定すれば、発言概要や氏名・団体名を市のホームページで公表するとしています。
また、インターネット上の動画も対象になり、認定すれば市がプロバイダーに削除を要請するとしています。申し立ては、市民等のほか、市内に通勤・通学している人も可能になっています。

ヘイトスピーチをめぐっては、国会でも2016年5月に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)が成立しました。この法律は具体的な禁止規定や罰則はない理念法にとどまっていますが、大阪市の条例は、氏名の公表など具体策を定めており、国の法律より踏み込んだものとなっています。
在日外国人が多く暮らす大阪市で、ヘイトスピーチを許さないという規範がつくられた意味は大きいといえます。

本条例運用の詳細については、大阪市ホームページの「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例Q&Aについて」を参照してください。

(※)この条例において「市民等」とは、市民または人種もしくは民族に係る特定の属性を有する市民により構成される団体をいいます。

(2017/09/14)