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「若年性認知症」とは |ご存じ?Q&A

「若年性認知症」とは
18歳から64歳の間で発症する認知症を総じて「若年性認知症」と呼んでいます。2009(平成21)年の厚生労働省の調査によると、若年性認知症患者は4万人弱で、女性より男性の方が多く、発病年齢は平均で約51歳でした。物忘れなどの症状が出始め、仕事や生活に支障をきたすようになっても「疲れのせい。自分はまだ若い」という思いで認知症であると気づかなかったり、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害、統合失調症に間違われることもあり、診察までに時間がかかってしまうケースが多く見受けられます。若い人にも認知症があることを理解しましょう。

症状
・物忘れ 初期症状のひとつで発症者の50%に見られる。例えば、会社の会議に出席したこと自体を忘れるなど、脳の萎縮により体験したことそのものを忘れる。
・行動の変化 発症者の28%に見られる。転んだり電柱にぶつかるなど、視覚で得た情報を正常に処理できなくなるため、空間を認識する力が弱くなる。
・性格の変化 発症者の12%に見られる。自身の状態に対しての焦りや不安から、親しい人に対しての暴言や暴力など、性格に変化があらわれる。
・言語障害 発症者の10%に見られる。言語中枢に障害が起こることにより、「あれ」や「これ」と具体的な言葉が出てこなくなったり、会話中に話が詰まるようになる。

受けられるサービス
若年性認知症は、男性の発症者が多く、さらに、若いために暴力や介護拒否などが見られることもあります。場合によっては介護者が対応しきれなくなってしまい、介護負担が増大してしまいます。40歳以上では介護保険が、また、40歳未満でも、自立支援医療制度が利用できますので、市町村の福祉担当課などに相談してみましょう。

早期受診と早期治療が重要
若年性認知症の進行スピードは高齢者の認知症よりも速いため、早期受診・早期治療が重要です。症状に合った薬の処方や、非薬物療法・リハビリを通して脳を活性化させることで、症状を改善させたり進行を遅らせることができます。ただ本人が自分でおかしいと気づくことは難しいため、家族や会社の同僚、仲の良い友だちなどが異変に気づき、受診を勧めるようにするほかありません。早期であれば理解力や判断力が保たれているので、病気であることを受け入れ、今後の人生を設計する時間が与えられることになります。

3つの予防手段
若年性認知症を予防するには、普段の食生活、運動習慣、生活習慣の見直しが鍵になります。睡眠不足や運動不足、脂っこい食事、喫煙など、リスクが上がる生活を見直し、規則正しい生活を送れるよう、意識していくことが大切です。

(2019/01/04)