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「強迫性障害」とは |ご存じ?Q&A

「強迫性障害」は、英語の疾患名 Obsessive Compulsive Disorderを略してOCDともいわれ、自分の意思に反して不合理な考えやイメージが頭に繰り返し浮かんできて、それを振り払おうと同じ行動を繰り返してしまう病気です。
原因は今のところわかっていませんが、脳の神経伝達に関係していると考えられています。発症の背景には、ストレスや生活環境の大きな変化があるケースが多いといわれています。

強迫性障害の症状で、よくみられるのが「汚染・洗浄」と「確認」です。
「汚染・洗浄」は、ばい菌やウイルス、排泄物などに自分や周りのものが汚染されるように感じられ、強い不安に襲われます。そして何回も手を洗ったり、汚れていると思うものに触れることを避けたりします。
「確認」は、ドアの戸締りや電気を消すときなど、実際はきちんとできていても確信が持てず、もう一度確かめたくなり、それを何度も繰り返してしまいます。

他には、「加害」「数唱」「不完全」といった症状があります。
「加害」は、自分のせいで人に危害を加えてしまわないかという事態を異常に恐れます。
「数唱」は、不吉な数字やこだわりの回数があり、その数字を避けたり、こだわりの回数を繰り返したりします。
「不完全」は、順番・対称などに対して、自分なりの決まったルールがあり、過剰にとらわれます。

症状が重くなると、強迫行為に大半の時間を取られ、他のことをする余裕がなくなり、行けない場所が増えたりするなど、日常生活に大きな影響が生じるようになります。
症状に追われる生活が長く続くと、気分が落ち込んだり、悲観的な考えに傾きやすくなり、うつ病を併発する人も多くみられます。また家族と同居している場合、家族も症状に巻き込まれ、ストレスを感じた家族がうつや睡眠障害になってしまうこともあります。

強迫性障害の主要な治療は「薬物療法」と「認知行動療法」があり、二つを併用すると、より改善効果が上がるとされています。しかし、症状も個人差があり、いずれにしても精神科や心療内科などで正しい診断を受けることが肝要です。

(2019/03/13)