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「過労死等防止対策推進法」とは |ご存じ?Q&A

近年、我が国において過労死などが多発し大きな社会問題になっています。
過労死は、1980年代後半から社会的に大きく注目されはじめ、「使い捨て」が疑われる企業の問題など、劣悪な雇用管理を行う企業の存在と対策の必要性が各方面で指摘されました。
このような中で、過労死で亡くなられた方の遺族の方々や、それを支援する弁護士、学者などが集まって過労死を防止する立法をめざす団体が結成され、国会などへ働きかけが行われた結果、超党派の議員立法として2014年の通常国会に提案され、同年11月に「過労死等防止対策推進法」が施行されました。

この法律の基本理念は、
1 過労死等の防止対策は、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取り組みに生かすとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、国民の関心と理解を深めること等により行う。
2 過労死等の防止対策は、国・地方公共団体・事業主その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行う。
としています。

また、過労死等の定義については、
1 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
2 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
3 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
とされ、我が国の法律上初めて過労死等の定義が規定されました。

過労死などは、本人はもとより、その遺族などの方々にとって計り知れない苦痛であるとともに、社会にとっても大きな損失です。人の生命はかけがえのないものであり、どのような社会であっても、過労死などは本来あってはなりません。
過労死などがなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的として、この法律は制定されました。過労死などはまさに人権に関わる問題なのです。

(2020/01/23)