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「8050問題」とは |ご存じ?Q&A

8050(はちまるごーまる)問題とは、ひきこもりが長期化し、80代の親と50代のひきこもる子が同居する世帯が、高齢の親の年金などの収入で生活する状況が増えている社会問題をいいます。

自室でほとんどの時間を過ごし、家族以外との交流を持たず社会参加をしない状態を示すひきこもりについて、厚生労働省は原則的にその状態が6カ月以上続くという基準を設けています。他人と関わらずに、ときどき趣味の用事や近所への買い物などで外出することもある場合も含みます。

ひきこもりが社会問題化したのは平成初頭で、当時は10~20代の若者の間で指摘されていましたが、平成の約30年間で引きこもり期間は年々長期化をたどっています。内閣府が2018年度に初めて実施した中高年層の調査では、全国の40~64歳で推計61万3千人いることが判明、15~39歳の若年層のひきこもり推計54万1千人(2015年度調査)より、中高年層のほうが深刻であることが判明しました。

調査によって実態を把握するとともに、高齢者問題と、ひきこもり問題という複合的な課題が混在する「8050(はちまるごーまる)問題」を解決するためには、これまでのような制度・分野ごとの「縦割り」を超えた包括的な支援体制が急務といえます。

ひきこもりに対する施策として、厚生労働省ではこれまで、精神保健分野、児童福祉分野、ニート対策などの各種事業を実施しており、全国の精神保健福祉センター、保健所、児童相談所などにおいて、ひきこもりを含む相談などの取り組みが行われてきました。

これらの取り組みに加え、2009年からひきもこりに特化した第一次相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」を全国の都道府県や指定都市に設置し、運営する事業を進めています。

このセンターは、本人や家族が地域の中で最初にどこに相談したらよいかを明確にすることにより、より支援に結びつきやすくすることを目的としたもので、2019年4月現在全国で67の自治体に設置されています。

また、将来の「8050(はちまるごーまる)問題」を未然に防ぐ意味で、20~30代の若年層の社会復帰支援などに積極的に取り組む団体も多くあります。

(2020/10/30)