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「成年後見制度」とは |ご存じ?Q&A

成年後見制度とは、

認知症、知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が低下している人のために、援助してくれる人を家庭裁判所に選んでもらう制度です。
2000年の介護保険制度導入に合わせて、新しい権利擁護制度としてスタートしました。それまでの制度としては、1898年につくられた禁治産制度がありましたが、家制度の思想を背景にもち、もっぱら家の財産維持という考え方に基づくこと、裁判所から禁治産宣告を受けると戸籍に記載されることなど問題点の多い制度でした。新しい制度により、判断能力が不十分なことから自分一人では困難な、不動産や預貯金などの財産の管理や各種契約を安全に行えるようになりました。
この制度は、欧米の法制度を参考にして、本人の保護やノーマライゼーションの視点から、自己決定を尊重した制度となっています。したがって、この制度を利用してもスーパーでの買い物など日常生活に必要な範囲の行為は、本人が自由にすることができます。
成年後見制度は、大きく分けると法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。法定後見制度は、本人の判断能力の程度などに応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。この制度の申し立ては誰でもできるわけではなく、本人・配偶者・四親等内の親族・市町村長などに限られています。
任意後見制度は、本人にまだ判断能力があるうちに、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を公正証書で結んでおくものです。
家族の支援が得られないひとり暮らしの高齢者が、判断能力の低下によって、悪徳商法に騙されるといった場合などにも、成年後見制度を利用することで被害を防ぐことも可能で、社会的弱者の権利擁護に有効な制度といえます。

(2014/05/07)