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「アンガーマネジメント」とは |ご存じ?Q&A

アンガー(anger)とは、怒りや苛立ちといった感情のこと。衝動にまかせて怒りを爆発させるのではなく、適切な問題解決やコミュニケーションに結びつけるために、怒りを上手にコントロールすることを「アンガーマネジメント」といいます。
怒りや苛立ちといった感情と向き合う「アンガーマネジメント」は1970年代にアメリカで始まった心理教育の一種で、日本における「アンガーマネジメント」の認知度は、まだそれほど高くはありませんが、日本国内では「一般社団法人日本アンガーマネジメント協会」が普及・啓発やプログラム開発に取り組んでいます。
同協会によると「怒りは人にとってごく自然な感情であり、怒ること自体はまったく問題ない」と強調しています。むしろ問題なのは、自分にとって怒るべきことと、怒らなくてもよいことの線引きができていないことです。 
そうした価値観の線引きを自分の中できちんと意識していれば、怒りや苛立ちを誰かのせい、何かのせいにして人やモノに当たったり、反射的に感情を爆発させたりすることなく、いったん立ち止まって、自分の怒りを主体的にコントロールすることができるようになります。それが「アンガーマネジメント」の考え方です。
アメリカでは既に広く定着し、ビジネスパーソンをはじめ、政治家や弁護士、医師、スポーツ選手、俳優など、さまざまな職業に従事する人がより良い生活や仕事、人間関係を手に入れるために、怒りと上手に付き合う技術「アンガーマネジメント」を学び、習得しているといわれています。
日本でも職場の人間関係のトラブルや、パワハラの増加を背景として、怒りの感情をコントロールすることにより、職場内のコミュニケーションの改善をはかろうと多くの企業が研修に取り入れるなどしています。また文部科学省では「アンガーマネジメント」を「感情理解教育」と訳し、学校教育にも取り入れることを検討しています。
怒りは決して不要な感情ではありませんが、不要な怒りはいたるところで怒りの連鎖を起こし、不要な争いを生み出します。「アンガーマネジメント」ができれば自分が怒る、怒らないを自分で決めることができます。誰かに怒りをぶつけられても、誰かにぶつけ返す必要のないことがわかります。そうなれば社会で連綿と続いている怒りの連鎖を断ち切ることができます。不要な争いが生まれない社会を実現する方法のひとつが「アンガーマネジメント」といわれています。

(2015/10/01)