シリーズ

「子どもの貧困」とは |ご存じ?Q&A

子どもの貧困が大きな社会問題となっています。厚生労働省が2014年7月に発表した「平成25年国民生活基礎調査」によると、子ども(17歳以下)の「貧困率(注)」が、2012年は16.3%で1985年の10.9%から5.4ポイント悪化し、過去最悪の値でした。「子どもの貧困率」16.3%とは、子どもの6人に1人が貧困になる計算です。また、子どもがいる現役世帯のうち、ひとり親世帯では54.6%と非常に高くなっています。ひとり親世帯の多くが母子世帯であり、働く母親の多くが非正規雇用であることが影響しているとみられています。
貧困世帯の子どもたちは教育費が払えないため、高等教育を受けることができず、そのために安定した就職先に就く機会が減少します。また、修学旅行に行くことができない、クラブ活動に参加することができないなどいじめの対象になりやすい状況であったり、病院にかかることができず健康を害したりとさまざまな困難に遭う危険が高まります。親の経済的な貧しさは、子どもたちが受けられる教育につながり、その子どもたちも貧困から抜け出せない「貧困の連鎖」を生む状況にあります。
2014年1月に施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」、同年8月に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」では、目的・理念として「子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」としています。
全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会を一刻も早く実現させることが求められています。

(注)「貧困率」
低所得者の割合を示す数値で、経済協力開発機構(OECD)の基準を用いて算出しています。世帯所得から子どもを含む全員の所得を仮に計算し、真ん中の順位の人の所得の半分に満たない世帯員の割合を「相対的貧困率」と定義しています。これらの世帯で暮らす子どもを対象にした割合が「子どもの貧困率」です。

(2015/12/01)