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「同和対策審議会答申」とは |ご存じ?Q&A

わが国の同和対策の原点であり、日本政府が「部落問題の解決を国策として取り組む」ことを確認した、歴史的にも価値のある文書です。
1960(昭和35)年に総理府の附属機関として設置された同和対策審議会が、内閣総理大臣から受けた「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」についての諮問に対し、1965(昭和40)年8月11日に提出された答申です。

前文
第一部  同和問題の認識
第二部  同和対策の経過
第三部  同和対策の具体案
結語   同和行政の方向
により構成されています。

「前文」では、
同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題であることが記され、さらに、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題であると明記されています。また、部落差別は、差別する人の問題であることを基本的な視点で示しています。

「第一部 同和問題の認識」では、
部落差別の本質として、同和問題を存続させ、支えている社会的・経済的・文化的根拠を明確にするとともに、部落問題は過去の問題であるとの捉え方を明確に批判しています。さらに、永久に解決できないという考え方や放置すれば解消する(寝た子を起こすな論)という考え方を批判しています。

「第二部 同和対策の経過」では、
それまでの同和行政の歩みを総括しています。

「第三部 同和対策の具体案」では、
環境改善、社会福祉、産業・職業、教育、人権の5項目について具体案を示しています。

「結語」では、
国及び地方自治体が同和行政を円滑に進められるように、「特別措置法」を制定する必要性を指摘しています。

この答申を踏まえ、1969(昭和44年)年7月、同和対策事業特別措置法が制定されましたが、時限立法であったことから、数回にわたる改正と延長の後、2002(平成14)年 3月に終了となりました。

33年間にわたる特別対策の実施は、住環境改善、生活環境改善、福祉の向上、経営・就労環境改善、教育啓発事業など、国を挙げての取り組みとなり、大きな効果をもたらしました。

 

(2016/12/16)