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ひとつ今年の干支にちなんで蛇のお話しをさせていただきます。
1928年のこと、「月と不死」という論文が発表されました。
これは次のような沖縄県・宮古島の民話をもとに古い信仰について論じたものです。
お月様が、人間がいつまでも健康で長生きできるように若返りの水を使者に持たせたけれど、使者が疲れてやすんでいるとき、その水を蛇があびてしまったのだそうです。
そのため、人は不老不死ではなくなり、蛇はいつまでも脱皮を繰り返し生まれ変わって長生きをしているのだそうです。
ここから、何度欠けても再びよみがえって輝く月を見た人が、不死を連想していたことが明らかになりました。
私たちは蛇というと少し気味の悪いもののように思いがちですから、その姿に不死のイメージを重ねていたというのはちょっと意外な感じがします。
この論文を書いたのはニコライ・ネフスキーというロシアの研究者です。
日本に留学していたところロシア革命が起こり、帰国できなくなってしまったので日本で研究を続けることになりました。
日本の民間信仰にも関心があり、柳田國男や折口信夫とも交流がありました。
今では知っている人もあまりいませんが、大阪外国語学校(現・大阪大学外国語学部)などでロシア語を教えていましたから、大阪にもゆかりがある人です。
(2013/04/01)