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平野小剣の人物像(2) |平野小剣の人物像

平野小剣が主張した部落民意識は、部落差別に苦悩していた多くの部落民に自信を持たせ、
部落解放に立ち上がるための勇気を与えました。

健筆で鳴らした平野は、部落民の部落解放への主体形成を重視する論陣を張った人物です。
また実践面では東京を拠点としながら、関東水平社創立をはじめとして関東一円に水平運動を広げるため各地を駆けまわりました。

しかし、何れの社会運動団体も経験することではありますが、全国水平社も創立間もなくして思想的分岐が起こりました。

創立の思想である人間主義や部落民意識は理解が多様になり、次第に日本共産党に影響を受けたボル派と呼ばれる勢力が台頭してきたのです。
その代表格が、沖浦和光氏が連載の対象としている高橋貞樹です。

ボル派のターゲットとなったのは、保守政党と結びついた初代中央委員長の南梅吉や平野ら保守的と見なされた全国水平社の幹部でした。

大阪人権博物館 研究員

 

(2013/07/16)