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近世の祝福芸(2)「大神楽との出合い」 |よくわかる人権講座

かつて京都に住んでいた頃、正月2日の朝早い時間に必ず窓の外から笛の音が聞こえていました。 慌てて飛び起き、着替えてマンションの階段を駆け下りると、獅子舞の一団がいます。

旧街道沿いの家をまわり玄関先で獅子を舞わせ、獅子頭で家の人の頭を噛み、お札を渡していました。その時に私がいただいたお札には「伊勢大神楽」と書いていました。 この獅子舞は、宗教法人伊勢大神楽講社には所属していませんが、かつて京都をまわっていた人から得意先を引き継いだ方だそうです。

重要無形民俗文化財にも指定されている伊勢大神楽講社に所属する伊勢大神楽は、NHKのドキュメンタリーで取り上げられたりして次第に広く知られるようになってきました。

伊勢大神楽は獅子舞とともに※1放下芸という曲芸が演じられています。 バランス芸や刃物を使った※2ジャグリング…はじめてその曲芸を見たときは目を疑ってしまいました。

※1放下芸:大道芸の一種。室町期から近世にかけて見られた雑芸。放下は禅家から出た用語で、ものごとを放り投げて無我の境に入ることを〈放下(ほうか)す〉といった。

※2ジャグリング:複数の物を空中に投げたり取ったりを繰り返し、常に1つ以上の物が浮いている状態を維持し続ける技術を指している。

 

(2013/11/25)