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地下鉄エレベータ物語(3)「誰でも乗れる地下鉄をつくる会」 |よくわかる人権講座

「全国最初のエレベータは大阪市営地下鉄の何線、何駅に設置され、それは何年だったのでしょうか?」でした。

知らなければ分からないこの類の質問をここまで引っぱってしまったのですが、 答えを打ち明ければ「大阪市営地下鉄谷町線、喜連瓜破(きれうりわり)駅、1980年」が正解となります。 1980年、国際障害者年(1981)の前年ということで、ノーマライゼーションやバリアフリーといった用語も知られるようになってきた頃です。 このような潮流の影響を受け、喜連瓜破駅にエレベータが設置されたのでしょうか。

実は、エレベータのみではなく、喜連瓜破駅そのものも1980年に新しくできた駅でした。つまり、谷町線の延伸計画によって建設されたわけですが、この新駅建設に対して、「誰でも乗れる地下鉄をつくる会」というグループが地下鉄のバリアフリーを求める運動をおこなっていくことになるのです。

会は障がい者が中心となり、1976年に設立されます。延伸計画当初、新駅建設に際して、エレベータの設置は考えられていませんでした。 そこで、会は街頭アピールやシンポジウムの開催、署名活動などさまざまな取り組みを重ね、大阪市交通局との交渉を続けていきました。

この活動が実り、喜連瓜破駅にエレベータが設置されることになったのです。 全国初のエレベータには、障がい者を中心に、共に活動した健常者との運動が実って設置された歴史があったんですね。

(2014/01/06)