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サッカー界と人権問題 |サッカー界と人権問題

2010年 南アフリカでサッカーワールドカップが開催されました。

そのサッカー界、特に欧州では人種問題がクローズアップされることが度々あります。主要欧州リーグの各チームは世界各地から有望選手を集めていることからも想像できることですが、各国代表チームにおいても問題になることがあります。

例えば、毎回優勝候補に上げられ、 今回も「超・前のめり」のタレントがそろっているオランダ。でも毎回、内紛でチームが分裂状態になり、好成績を残せません。理由は、起用方法について選手から「監督が黒人を排除している」という不満がいつも起こるかららしいです。真偽のほどはわかりません。

ホントかもしれませんし、選手の個人的な「やっかみ」から理由をこじつけているのか…

オランダでは移民が大量に入国していたことから、1980年代、マイノリティの積極的な社会参加のための政策がとられるようになりました。そういう背景もあって、代表チームには黒人選手も多数選出されるワケです。(前回から内紛を嫌ってか、減ったように思いますが)

また、前々回ドイツ大会決勝戦での出来事はみなさんの記憶にも新しいところだと思います。

イタリア対フランスというカードでおこなわれた決勝戦。試合途中に、フランスのジダン選手がイタリアのマテラッツィ選手に頭突きをかまして一発退場になるという事件が起こりました。

このときジダン選手は、移民であることをもとに人種差別発言をされたと証言しています。ただマテラッツィ選手本人は、挑発行為は認めたものの、人種差別発言については否定しています。

結局、真偽は不明のまま両選手には、暴力行為と挑発行為に対して、それぞれ制裁が科されました。

それまでにも、フランス代表選手には相手ファンの観客から人種差別的発言が投げかけられたりしたこともあり、厳しい対応がとられたということでしょう。

ちなみに、フランスも移民や難民を多く受け入れています。その善し悪しは別として、混成民族であることを前提に「フランス語とフランス文化に敬意をはらえば誰でもOK」という気風を基本的な下敷きにしているからです。そういうこともあって、代表チームは他国と比べて移民の末裔たちが多く選出されます。98年地元開催のW杯で優勝したとき、チームは国民統合の象徴的な存在として、扱われたりしました。

このように、サッカーが世界的スポーツであればあるほど、逆にそうであるからこそ、人種問題・人権問題とは切っても切れないものになっています。ですので、FIFAは人種差別的行為や発言について厳しい罰則を設けるなど、差別撤廃に向けて積極的に動いています。

(2013/01/06)