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「巳」と庶民信仰(2) |「巳」と庶民信仰

「虹と市」

雨上がりに虹を見ると、どうしたわけかいいことがあるような嬉しい気分になってしまいます。

でも、「虹」という字は、なぜ「虫」偏なのでしょう。前回ご紹介したニコライ・ネフスキーは、沖縄の宮古では虹のことをヌジ、アオダイショウのことをヌシと呼んでいることなどから、虹とは古く「天の蛇」であると考えられていたといいました。
確かに、虹を蛇と見なす考えは中国にもありました。虹は巨大な蛇が水を飲んでいる姿だというのです。

「虹」の字に含まれる「虫」は、昆虫のことではなく「爬虫類」の蛇を意味しているのだとか。
甲骨文字の「虹」は、角がある頭を両端に持つ蛇の姿で表現されています。

ところで、日本列島の各地には、虹の下には財宝があるという言い伝えもありました。
虹の根元を掘れば宝物や金塊などが見つかるというのです。
そういう縁起のいい場所だからでしょうか、中世の文献などを見ていると、虹のたった場所では市が開かれたと言います。

恵みの雨のあとに空にかかる美しい虹は、私たちに福をもたらしてくれる巨大な蛇なのかもしれません。

(2013/04/01)