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「巳」と庶民信仰(4) |「巳」と庶民信仰

「出雲のウミヘビ」

ウミヘビを「龍蛇様」と呼んで信仰しているところがあります。
出雲地方では、毎年旧暦の10月ころに強い風が出て海が荒れる日があります。
この時、ちょうど暖流に乗って回遊してきたウミヘビが浜辺に漂着することがあるのだそうです。

これを出雲大社などの神社に奉納しています。
諸国の神様が出雲に集まると言われる神無月、出雲では神在月とよんでいるそうですが、その旧暦10月になると海の向こうから毎年現れる不思議な生き物。
地元では神の先導役とも竜宮からの使いとも見なして大切に祀っているそうです。

この時に、出雲大社や佐太神社などで行われているお祭りは「神在祭」と呼ばれています。

ところで、神在祭が行われている神社のひとつ、出雲大社は七福神のひとり、大黒様の総本社ともいわれています。
もともと、出雲大社の祭神は大国主尊。
音読みで読めば「ダイコク」シュになるので、いつしか七福神のひとり大黒様と習合していったようです。

この出雲の信仰は御師とよばれる宗教者によって全国に広められますが、商売繁盛・五穀豊穣の御利益があるというので各地に広まり、あちこちで講という信仰組織講が作られます。
そのなかには、「龍蛇神講」という名前の講もあります。
出雲のウミヘビは、火伏せ・水難除け・商売繁盛などのご利益があるといわれています。

 

 

(2013/04/15)