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地下鉄エレベータ物語(4)「移動は権利」 |地下鉄エレベーター物語

これまで、地下鉄のエレベータ設置に関わる歴史を紹介してきました。では、喜連瓜破(きれうりわり)駅にエレベータが設置された後は、どうなったのでしょうか。

当然、喜連瓜破駅だけにエレベータがあっても、降りる駅にエレベータが設置されていなければ意味がないですよね。 そのため、喜連瓜破駅がある種の突破口となり、エレベータの設置が進められていきました。現在では、大阪市営地下鉄のエレベータ設置は100%を達成し、その他のバリアフリー施策も積極的に進められています。

このような状況になりましたので、現在では、エレベータがあることの方が当たり前だと思われているかもしれません。しかし、この連載でお伝えしてきたように、それは決して当たり前ではありませんでした。 障がい者を中心とした人びとによる活動によって設置されたのも見てきたとおりです。近年、交通に関わる問題を権利の視点で捉える活動が盛んになってきています。 そう考えれば、地下鉄エレベータの歴史もすべての人に関わる権利(移動)の問題が少数者(障がい者)の活動によって実現に一歩ずつ近づいている過程なのだと考えることもできるのではないでしょうか。

権利が実現していくこのような歴史の流れは、他の権利に関わる問題にも共通することです。では、少数者の活動が多数者に広がったとき、その権利を守っていくために多数者は何をするのか。

奪われやすい権利の性格を考えたとき、私たち自身に問われていることかも知れません。

 

(2014/01/14)