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(2)─非加熱血液製剤とHIV感染被害─ |薬害エイズとメモリアルキルト

薬害エイズ事件の原因となった非加熱血液製剤(非加熱血液凝固因子製剤)は、血友病患者の治療薬として1978年からアメリカを中心に海外から輸入されはじめました。
非加熱血液製剤の登場は、血友病患者の止血治療を容易にしました。
さらに、1983年には血液製剤の家庭療法(自己注射)が認められ、血友病患者にとっては内出血やケガでの出血をあまり気にせず学校や会社にいけると、社会生活が大きく変化しました。

しかし、血液製剤は血液を原料として製造されます。採血の過程でなんらかのウィルスに感染している血液がまざっていれば、血液製剤そのものもウィルス感染してしまうのです。
ましてや、加熱処理をしていない非加熱血液製剤は、大きなリスクをともなうものでした。

1982年、アメリカで3人の血友病患者のエイズ発症が確認され、感染原因に血液製剤が疑われました。その後、アメリカでは翌年には加熱処理をした血液製剤の製造、販売がはじまりました。

日本の血友病患者も、アメリカでの事件を受け厚生省に輸入血液製剤の安全性についての確認や加熱血液製剤への切り替え要望を提出しました。
しかし、日本で加熱血液製剤の使用が許可されたのは1985年のことでした。
この2年間で血友病患者やそのパートナーの間にHIV感染が広がったのです。

 

(2015/02/02)