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おおさかじん(4) |なにわフィールドミュージアム

(4)「四天王寺の石鳥居」JR環状線天王寺駅から北へ徒歩12分 四天王寺境内

四天王寺に行ったことのある人なら、西側に大きな石の鳥居があるのをご存知だと思います。
これを見て、お寺に鳥居?と不思議に思う方も多いようです。
もともと、鳥居は結界とするための施設なので、お寺にあっても不思議ではありません。

四天王寺の鳥居は鎌倉時代の『一遍聖絵』にも描かれています。
絵を見ると朱塗りのようですので、木造だったようですが、この鳥居は老朽化が進み 次第に危険な状態になってしまいました。

そこで、永仁2年(1294年)に忍性(にんしょう)というお坊さんが石でできた鳥居を建立しました。
鳥居には額がかかげられ、「釈迦如来 転法輪処 当極楽土 東門中心」と書いてあります。
四天王寺の西にある鳥居は、西方極楽浄土の東の門だ、つまり門の外は極楽浄土だという意味です。
面白いのは、この額が箕のかたちをしていること。
一切の衆生を「すくう」ためなのだそうです。

中世の絵画史料などを見ると、この四天王寺の石鳥居や西門のあたりには、多くの被差別民の姿が描かれています。
多くの参詣者がのぞめるこの場所で、施しを期待したということもあるのでしょうが、極楽浄土に一番近いとされるこの場所で、宗教的な救済をもとめて集まったのかもしれません。
(石の鳥居は重要文化財に指定されています)

(2012/11/28)