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虹色ダイバーシティ(6) CSR担当者がLGBTに注目、大阪で初の勉強会開催 |性的マイノリティの目線から見える社会

タイトル CSR担当者がLGBTに注目、大阪で初の勉強会開催
虹色ダイバーシティ 代表 村木真紀
ホームページ http://www.nijiirodiversity.jp/

全国初の勉強会を、大阪で開催

2013年7月17日、虹色ダイバーシティ主催の企業担当者向けLGBT勉強会を開催しました。今回はその概要を報告したいと思います。

勉強会のタイトルは、「CSR勉強会 ダイバーシティ最前線?LGBTが働きやすい職場をつくるために」。企業担当者向けのLGBTとCSRがテーマでの勉強会は、おそらく日本で初めてであったと思います。会場の都合で50名限定の会だったのですが、事前予約だけで満席となりました。

イベント当日は、LGBTという耳慣れないテーマであるにも関わらず、会場からの質問も多く、熱気にあふれた会となりました。参加者の皆さまの共感性の高さには、私たちも驚くほどでした。今回、大阪同和・人権問題企業連絡会の後援も頂き、会員企業へ告知して頂きましたが、日頃の人権問題への取り組みの蓄積があると、LGBTという新しい人権課題についても、他の人権課題との類似点を見つけ、すぐに勘所をつかむことができるのではないかと感じました。

(告知チラシ)

イベントの概要

日時:2013年7月17日(水)15:00-17:00
場所:グランフロント大阪 都市魅力研究室
出演:菅原絵美様(大阪大学)、村木真紀(虹色ダイバーシティ)
主催:虹色ダイバーシティ 共催:大阪ガス株式会社
後援:一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)、大阪同和・人権問 題企業連絡会、一般財団法人ダイバーシティ研究所(後援決定順)

プログラム:

15:00?15:30 ご挨拶(大阪ガス江本様) オープニングトーク「国内外の人権CSRの動向とLGBT課題」(菅原、村木)
15:30?16:00 当事者アンケート結果の発表(村木)
16:00?16:50 トークセッション「自社でLGBT課題に取組むためには?」(菅原、村木)
16:50?17:00 質疑応答、アンケート記入

オープニングトークでは、大阪大学の菅原絵美先生より、国際的な人権基準と企業の取組み、その中でのLGBTの権利の状況をご紹介いただきました。  引き続いて、虹色ダイバーシティ村木より、日本のLGBTの職場の状況についての当事者アンケートの結果をご報告しました。この内容は、前回、前々回の連載でご報告しております。

リンク 虹色ダイバーシティ(4) 日本初、LGBTの職場環境に関する調査(1)                                          http://www.osaka-doukiren.jp/topics/topics01/2668
虹色ダイバーシティ(5) 日本初、LGBTの職場環境に関する調査(2)                                              http://www.osaka-doukiren.jp/series/minority/3151

後半のトークセッションでは、会場も巻き込んで、日本企業がLGBTに取り組む際の課題や取り組みの方向性について話し合いました。「自分としては大切なことだと思ったが、上長や経営層の理解を得られるだろうか」という担当者の戸惑いの声、「こういう会に多くの企業が集まることを知れただけで嬉しい」というLGBT当事者の声が上がりました。

参加者の声

この日の参加者は、最終的には59名となり、うち、企業関係者は26名でした。関西に本社のある上場企業20社が参加する会となりました。行政関係者、NPO、研究者、マスコミ関係者からの参加もありました。終了後は、参加者同士で名刺交換、情報交換を行いました。  終了後のアンケートに記載された参加者の声をご紹介します。

アンケートより抜粋 ・初めて知ることばかりで驚いた ・価値観が広がった ・自社で何ができるのか考えたい ・社内でこの話を広めたい ・参加者が多くてびっくりした ・当事者の声をもっと聞きたかった ・LGBTマーケティングの話も聞きたい

アンケート回答者39名の満足度を点数化(とても不満=0点、不満=25点、ふつう=50点、満足=75点、とても満足100点)すると、平均で82.6点となり、非常に満足度の高い会となりました。参加者の皆さまの積極的な姿勢も本当にありがたかったです。この場を借りて御礼申し上げます。

今回の企画はLGBTとCSRに関する入門編という位置づけでしたので、より深く知りたいという方のために、少し角度を変えた勉強会も必要だと思います。また、事前申込が満席で参加できなかった方からも、再度の開催をとリクエストを頂いています。 是非、近いうちにもう一度勉強会を企画したいと考えています。

こうした勉強会は、LGBT対応を進めるためのスタート地点です。CSRの重要項目である人権、その中のひとつとしてのLGBTの人権について、担当者がその課題を知り、自社での取り組みを考えるひとつの機会になります。参加者の皆さまには、勉強会への参加だけで満足せず、実際に自社で何らかの取り組みを始めていただけると嬉しいです。

自社の取り組みの進捗を図る

では、実際に自社でLGBTに関する取り組みを始める場合に、どのように進めていけばよいのか、が問題になります。女性や障がい者と異なり、LGBTについては入社時に当事者が何人いるかを把握することができません。周囲にカミングアウトしていない人も多く、社内の当事者の意見を聞くのが難しいという特殊性があります。加えて、日本企業でのLGBT対応のモデルケースが少なく、各社が試行錯誤をしている段階で、明確なゴールが見えないのも取り組みを難しくしています。

そこで、今回のイベントをきっかけに、菅原先生と虹色ダイバーシティの共同研究という形で、「人権CSRガイドライン LGBTの人権」を作成しました。当事者のカミングアウトを強要せずに、全ての会社で最低限取り組んで欲しい項目をまとめたものです。是非これを活用して、社内のLGBT施策を検討していただければと思います。

このイベントは、共催の大阪ガス様はじめ、さまざまな方のご協力があって、非常に充実した会になったと思っております。関係者の皆さまに深く御礼申し上げます。

「人権CSRガイドライン LGBTの人権」

虹色ダイバーシティ(1) 職場で働く性的少数者たち

虹色ダイバーシティ(2) 「性別を変えて働きたい」と言われたら…

虹色ダイバーシティ(3) 海外企業のLGBT対応

虹色ダイバーシティ(4) 日本初、LGBTの職場環境に関する調査(1)

虹色ダイバーシティ(5) 日本初、LGBTの職場環境に関する調査(2)

虹色ダイバーシティ(6) CSR担当者がLGBTに注目、大阪で初の勉強会開催

虹色ダイバーシティ(7) LGBTへの差別的言動は「セクハラ」になります

虹色ダイバーシティ(8) 企業のLGBT担当者になるワークショップ

虹色ダイバーシティ(9) LGBT施策は当事者以外の人にも効果あり?

虹色ダイバーシティ(10)2014年、LGBTに関する動き

(2013/09/24)